
■調査概要
●調査目的
大手企業の新入社員による過労自殺報道やブラック企業など、過重労働による過労死や心の病が大きな社会問題となっている。
そこで、福岡県内の就労者の労働環境に関する現状と、働き方の問題点・課題を把握することにより、就労者にとってより働きやすい環境作りを検討する為の基礎資料作成を目的とする。
●調査時期
2017年1月20日(金)〜23日(月)
●調査地域
福岡県
●対象者条件
18歳〜59歳の男女個人
民間企業、団体、国・地方公共団体で正社員もしくは嘱託・契約社員としてフルタイムで勤務されている方
*モニター登録者にeメールにて調査の案内を行い、指定のURLにアクセスしてもらい回答を得た。
●標本抽出法
ビデオリサーチ社提携企業のインターネット調査モニターより抽出
●調査方法
インターネット調査
●有効標本数
2,579サンプル
●標本構成
(上段:人 / 下段:%)
| |
総数 |
男性 |
女性 |
| 全体 |
2579
100.0 |
1613
62.5 |
966
37.5 |
男性
18〜29才 |
男性
30代 |
男性
40代 |
男性
50代 |
女性
18〜29才 |
女性
30代 |
女性
40代 |
女性
50代 |
88
3.4 |
389
15.1 |
619
24.0 |
517
20.0 |
192
7.4 |
333
12.9 |
305
11.8 |
136
5.3 |


- 本調査の対象者は、民間企業、団体、国・地方公共団体で正社員もしくは嘱託・契約社員としてフルタイムで勤務されている方です。
2016年(平成28年)の1ヶ月平均残業時間(休日勤務時間を含む)が、「50時間以上」は全体の1割弱(8.5%)で、「40〜50時間未満」(5.4%)を加えた「40時間を超える」人は1割強(13.9%)です。
- 性年代別で残業時間が長いのは男性40代で、半数が「20時間以上」、「40時間以上」で約2割(19.8%)。女性は男性と比べると短く、女性50代で「50時間以上」との回答の8.1%が最も高くなっています。
- 従業員数別では、従業員が多い会社ほど残業時間が長く、役職別では課長で「40時間以上」が23.5%、「50時間以上」は15.5%と、他の役職と比べて長くなっています。「40時間以上」を比べると、一般社員は1割に対して課長、部長以上は2割を占め、若手社員の残業時間の長さが注目されがちですが、課長、部長以上の管理職でも長時間残業は行われています。
【 平均残業時間 】< 性年代別/会社規模別/役職別 >



- 残業実施者への残業指示は、「自分の意志計」(「ほとんど自分の意思で残業」+「自分の意思で残業が多い」)は65.8%、「上司・先輩指示計」(「ほとんど上司・先輩の指示で残業」+「上司・先輩の指示で行うことが多い」)は17.0%と、自分の意志での残業が多くなっています。
- 2016年(平成28年)の、1ヶ月の最長残業時間(休日勤務時間を含む)では、「100時間以上」が5.9%、「50時間以上」で約2割(18.1%)、「40時間以上」は約3割(27.2%)となっています。
- 2016年(平成28年)最長残業時で、残業代の支払いについて、「全額もらった」が57.9%と約6割。一方、「全く支払われなかった」が18.2%、「半分以上支払われなかった」5.5%と、「全く」或いは「半分以上」支払われなかった方が2割以上占めています。
【 残業の指示 】< 残業実施者(n=2185)>

【 1ヶ月の最長残業時間(2016年の1年間に)】< 全体(N=2579)>

【 残業代の支払い(2016年最長残業の際)】< 最長残業実施者(n=2236)>



- 1年間での有給休暇の取得は、「11日以上」(「17日以上」+「11〜16日」)は2割、一方「なし」と回答した方も2割いて、「4日以内」(「3、4日」+「1、2日」)の短日取得が2割強を占め、有給休暇を「取得していない」或いは「4日以内」の短日取得が45%に及んでいます。
- 残業時間別では、「50時間以上」は、「なし」32.3%が高く、また「4日以内」も約3割を占め、なかなか有給休暇が取れていない事がわかります。会社規模別では、会社規模が大きいほど取得日数が多い傾向にあり、「有給休暇なし」では、従業員1,000人以上が10.6%に対し、30人未満は41.4%と大きなひらきがあります。
- 給与の満足度は、『満足計』(「満足」+「やや満足」)22.9%に対し、『不満計』(「不満」+「やや不満」)52.0%と、不満に感じている人の方が多い。賞与の満足度でも『満足計』(「満足」+「やや満足」)22.1%に対し、『不満計』(「不満」+「やや不満」)46.6%と、やはり不満に感じている人の方が多くなっています。
【 有給休暇取得日数 】< 残業時間別/会社規模別 >

【 給与の満足度 】< 全体(N=2579)>

【 賞与の満足度 】< 全体(N=2579)>



- 職場環境について、「定時退社しやすい風潮」「業務での助け合いがある」「コミュニケーションはよい」などは、半数近くがそう思うと回答。一方、「上層部は残業が多い事を問題視」は28.3%「残業対策を実施」は36.9%に留まり、「適正な数の人員配置」は、4割以上がそうは思わないとしています。
- 《参考》50時間以上残業実施者では『思わない計』への回答が高くなっています。特に下記の項目は、全体より15ポイント以上高い項目です。
・「適正な数の人員配置」66.8% (全体 42.9%)
・「残業対策を実施」59.5% (全体 36.5%)
・「部下の残業を詳細に把握」51.4% (全体 34.9%)
・「みんなが働きやすい環境」45.5% (全体 27.9%)
・「仕事の量は適切」63.6% (全体 32.3%)
・「定時退社しやすい風潮」53.2% (全体 25.8%)
・「有給休暇等取得しやすい」49.1% (全体 29.9%)
【 職場環境について 】< 全体(N=2579)>



- 労働環境について「一部の人に仕事が偏ることがある」が56.1%と最も高く、次いで「残業するのは当たり前のようになっている」41.6%「残業代を払わないサービス残業がある」38.5%の順となっています。長時間残業間題に対して、一方では、「残業手当がないと生活出来ない(生活が苦しい)」31.8%といった意見もあります。
また、残業時間に表れない、「昼休みを時間通りに取りにくい」28.2%、「仕事を持ち帰る事がある」19.3%、「時間外手当のない早朝出勤」16.5%もおり、問題です。
- さらに深刻なのは、長時間労働等による「心の病」(26.9%)や「怪我、病気、体調悪化等」(23.9%)で休職や退職者が出た事があることです。
- 50時間以上残業実施者では、「残業するのが当たり前」が8割強と全体と40ポイント以上の差があり、それ以外でも「サービス残業」「昼休みを時間通りに取りにくい」「休日出勤が多い」「22時を超える残業」「時間外手当の無い早朝出勤」などで全体より20ポイント以上高い項目があります。
- 長時間労働の要因としては「一部の人に仕事が偏る」、会社の社風として「残業するのが当たり前」「上司や先輩に振り回される」「若い人は遅くまで残る事が多い」があり、一方残業の恒常化により「残業手当がないと生活が苦しい」との意見もあります。さらには、前項の職場環境で「適正な数の人員配置」や「残業対策を実施」が不十分であることが判明しました。なるべく人を増やさないで調整しやすい『残業時間』による労働力の確保が、長時間残業の根底にあるかもしれません。
【 労働環境について 】



- 仕事、労働が原因の健康への影響については、「健康への影響は無いと思う」は25.6%で、残りの7割強の人は何らかの「影響がある」と答えています。項目別では「ストレスがたまっている」「疲れが取れない」「首や肩のこりがある」が3割強、「やる気が起きない」「イライラする」が3割弱と高くなっています。また、「何もしたくなくなる」「精神的なバランスを崩す」「情緒が不安定になる」など、深刻とも思える状況について1割が自覚しているようです。
- 50時間以上残業実施者の人は、全項目で全体より高くなっており、特に「疲れが取れない」「集中力がなくなる」は全体よりも10ポイント以上高くなっています。
【 仕事、労働が原因の健康への影響について 】



- 長時間労働者に対する産業医や保健師による面談制度は、4割が「制度なし」としています。制度があって、会社から勧められた面談を「受診」した経験者は11.1%で、制度があっても「受診なし」は26.0%となっています。
企業規模別では、30人未満の企業での「制度あり」は1割未満と低くなっています。一方で、制度があっても、1,000人以上では「受診あり」は2割に満たない状況となっています。小規模企業への面談制度の充実とともに、受診しない方へのハードルを取り除く必要もあるようです。
- 長時間労働、ストレス等で面談受診又は病院受診経験者の休養・配置転換等については、「通院」(43.2%)が最も高いほか、「休職」(18.1%)、「退職」(17.3%)も2割弱となっています。一方、「配置換え」(14.6%)、「残業の制限、抑制」(10.0%)は低く、会社側の事情或いは本人の事情によるのか、対応策がなかなか取られていない事が、わかりました。
【 長時間労働者の産業医・保健師による面談制度 】< 会社規模別 >

【 過重労働や仕事によるストレスが原因の休養・配置転換 】
< 長時間労働、ストレス等で面談受診又は病院受診者(n=658)>

