地方で就職を考えている学生や、実際に地方で働いている若者たちの現状について、当事者の生活実感や不満、不安などを具体的に深堀りすることで、若年層が地元(福岡)で働きたくなるような政策提言を行うためのヒントを得る
地元で働いてもらうための決定要因/阻害要因を明確にする
・就活中の学生について:地方で働く場合の決定要因
・地元で働く若手社会人:現在の仕事に対する満足/不満要因
・地元での一次産業従事者/自営業 : 魅力的な先行事例
グループインタビュー
福岡県在住の20歳〜39歳男女(共通条件)
・就活中の学生グループ
ー地元での就職を視野に入れて就職活動している大学生
・若手社会人グループ
ー地元の一般企業で働いている20〜30代の社会人
・1次産業従事者/自営業グループ
ー脱サラや転職等により、地元で一次産業や自営業に従事している社会人 計3グループ
全3グループ(5〜6名/グループ)
(1)学生グループ
(2)若手社会人グループ
(3)1次産業・自営業グループ
(1)2015 年 5 月 23 日(土) 14:00 〜 16:00
(2)2015 年 5 月 23 日(土) 10:30 〜 12:30
(3)2015 年 5 月 23 日(土) 17:00 〜 19:00
福岡県内に在住する若年層の「仕事」や「働き方」に関する意識と実態を把握し、「地方で働くこと」についての魅力や課題を抽出する。
それを基に、若年層が地元(福岡)で働きたくなるような政策提言を行うための基礎データとする。
・福岡県在住の若年層の「仕事や働き方」に関する意識
・福岡県在住の若年層の「地元で働くこと」に対する意識
・福岡県在住の若年層の地元就労促進施策
インターネットによるアンケート
福岡県
上記エリア内に在住の16〜39歳男女(学生もしくは仕事をしている社会人)
2015 年 5 月 26 日(火) 〜 2015 年 6 月 1 日(月)
3084サンプル
◇強い地元志向がみられる。家族・友人・知人といった地縁血縁を大事にする価値観があり、地元の将来を支える人材となることが予想される。
◇地元での就職希望は極めて強い。理由としては地縁血縁を大事にし落ち着いた生活のために働きたいとの願望がある。
◇アルバイト、習い事などひとつの事を長く続けるタイプが多く、また厳しい社会情勢を受けて、一生働くための資格取得などにも熱心である。反面、収入面はあまり気にしていない(実家の援助を期待)
◇自分の専攻、強みを重視するあまり、就職先を探す範囲は極めて狭い
◇希望職種に対する情報の不足
◇取得した資格を活かせる就職先が十分にあるか、希望勤務地に受け入れ先があるか
◇選択肢が少ない(希望職種につけなかった場合、次の展開が望めない)
◇就職時のミスマッチをいかになくすか。
◇情報入手先が学校中心になりがちで、地元の就職情報不足が懸念される。どう解消するか
◇資格取得時期が卒業間際になった場合、十分な就活時間が確保できないこと。
◇強い地元志向があり、中には郷土愛と呼べる感情を抱いている若者もみられる。地元の環境に愛着を感じている。
◇地元に対する意識は、「観光客的意識」。楽しむ、楽をすることがメインの対象者が多い。
◇家族に対する思い入れが強く、家を継ぐ、親を看るなど、今の家族関係を維持したい気持ちが強い。従って勤務地は実家近くが望ましいと考えている。
◇学生時代からの地元の友人関係を壊したくない。個人的な付き合いを非常に重視する一方、地元行事など社会的な付き合いには重きを置いていない。
◇転職者が多く、仕事を選ぶ基準が明確になっているものの、男性や有資格女性は、今の仕事に対する潜在的な不安を抱えているようである。例えば雇用形態、勤務実態(勤務時間が長い、休みがない)などから、家族を持った時にどうなるのか、将来像が描けない人が複数いる。
◇女性の場合、配偶者の事情により、地元を離れる可能性があるが、できれば地元に留まりたいとの希望を持つ人が多い。しかし地元の男性と知り合う機会が少なく、結婚願望はあるものの晩婚化の傾向がうかがえる。
◇現職でスキルを磨き、地元に根差した生涯の仕事としたいと考えている女性もみられる。
◇配偶者の事情で、地元を離れる可能性がある。
◇中小企業勤務の場合、ワークライフバランスを取るのが難しい
◇実家への愛着・依存が強く、新しい環境、家庭を作る強い意思に欠ける
◇「実家や家族を大事にすること」と「新しい生活を作ること」のバランスをどう取るか
◇ワークライフバランスついて考えるきっかけづくり
◇独立自営を選択した時の不安を乗り越え、ここまでやってきている自分に自信と誇りが感じられる。
◇独立自営にチャレンジしたいなら、失敗の許される若いうちがいいと助言。
◇地元の人間関係に恵まれており、サラリーマン時代より情報量が多く、自分の努力次第で収入が増える。
◇全員が現在の事業を拡張し、収益を安定させることを念頭に置いている。
◇新規参入が難しい分野が多い。
◇収入が安定しない。
◇倒産の可能性がある。常に背水の陣。
◇子供の数が多い、または多く(5〜6人)を希望している人が多い。少子高齢化と逆の傾向がみられる。
◇地元の人間関係を大事にし、行事等への参加は会社員より多い。将来的に地元を支える人材となるだろう。
◇自営業に対するサポート体制の認知は低い。しかし関心はある様子。
◇融資条件の緩和や、行政の入札案件、認可などについて、地元自営業の優遇策が求められている。
◇経営上のアドバイスについては、抽象的なものより、個別の事例に即した具体例が望まれている。
◎「良好な生活環境」や「親や友人の支え」、「生活費の安さ」等の生活面でのメリットは、居住地域を問わない県内共通の地元就労促進要因である。
― 特に「良好な生活環境」については、多くの属性において、地元就労のために不可欠な要素として挙げられており、現在地元で働いている県民の満足度の源泉となっていると考えられる。
◎「チャレンジ機会の多さ」や「スキルが評価される機会多さ」といったキャリアアップに関する要素については、多くの属性では促進要因となり得ていない。
― 学生層を中心に一定の期待はあるが、促進要因と定義するには弱い現状がある。
◎「収入水準の低さ」は、居住地域を問わない県内共通の地元就労阻害要因となっている。
― 一方で、地元就労のために不可欠な要素として、社会人層の多くが「家庭生活を維持できるだけの収入」を挙げていることから、収入水準の低さは一定の阻害要因ではあるものの、家庭生活を維持できないレベルでない限りは、決定的な阻害要因にはならないと考えられる。
◎特に学生層を中心に、「職種・業種の選択肢の少なさ」や「大企業・有名企業の少なさ」などの雇用の質に関する不満・不安が大きい。
― キャリア志向の強い学生層にとっては、地元就労の決定的な阻害要因となり得る。当該層は、就労に対する自身のニーズを満たすため、職種・業種が豊富で、大企業・有名企業が多く立地する大都市圏での新卒採用を視野に入れることになる。